遺伝子組み換え作物

交雑防止措置をとらない遺伝子組み換え作物の許認可に関するパブリックコメントが最近出ています。遺伝子の水平伝達・近縁種との交雑・形質転換などが遺伝子組み換え作物には様々なリスクが指摘されていますが、なぜ交雑防止措置をとらないでもよいのでしょうか。また、北海道では遺伝子組み換え作物の交雑を防ぐ条例作りを進めているようですが、北海道のホームページにおいて条例案を見つけることができませんでした。該当ページを教えて頂けるとありがたいです。

個人的には安全性が完全に保証されない限り

一般消費者のためにも交雑防止措置をすべきだと思います。

URLは農林水産省です。

右上にあります「ご意見・お問い合わせはこちらから」のリンクより農林水産省宛に意見や質問のメールを送信できます。

遺伝子組み換え作物の評価に関しては非常に難しい問題があるかと思われます。

例えば、先日のきのこ(種名は失念してしまいました)による大量中毒し事件のように、既存食物でも実は毒性があったというものもあります。

例えば、これは遺伝子組み換え作物の例の一つで、最近の一種であるバチルスが作るたんぱく質を作る遺伝子を組み込んだパターンです。このたんぱく質は昆虫類が摂取すると消化できず死に至りますが、人体には従来の農薬よりも安全であることが証明されています。

http://www.greenjapan.co.jp/noyak_btlist.htm

BT剤一覧?@(作物別・病害虫別)

実際にBT剤という名称でこの薬剤は市販されています。

で、天然由来の遺伝子を人為的に組み込んだ訳ですが、これにより新規毒性が現れる可能性は低い、というのが現実ではないかと。

交雑防止措置を取らなくてもよい条件の一つにカタヘルナ法で安全が認められた植物という物があります。

これは、その遺伝子組み換え作物が環境生態系への交雑等の可能性が低い事が証明されなければ開放系実験を行ってはならないというような意味合いを含んでいると考えます。

http://nikkeibp.jp/wcs/leaf/CID/onair/biztech/medi/356284

北海道、GMO栽培規制の条例案を2月1日に道議会に報告 - ニュース - nikkei BPnet

北海道の条例案はむしろ遺伝子組み換え作物は絶対悪であるという観点から議論が始まっており、科学的な論証はほとんど為されていなかったと聞いています。

確かに、反対派の方々の気持ちは良くわかるのです。実際、私自身組み換え植物と非組み換えのものどちらがいいかと問われれば非組み換えのものを取ります。

ただ、農薬がたっぷりかかった作物と組み替え作物とどっちがいいかと聞かれれば私は組み替え作物を取ります。

http://www.biotech-house.jp/qanda/faq_5.html

遺伝子組換え技術を使うと、どのようなメリットがあるのですか?

医薬の世界では天然由来より遺伝子組み換えのほうがリスクが低いとされています。

交雑の心配というのであれば外来種のほうがよほど危険です。

生物多様性条約カルタヘナ議定書国内法2月19日施行

GM汚染に対応しない「カルタヘナ法」

2月17日 院内集会

上のページの質問3『独立行政法人の圃場での栽培実験指針案が出ているが(参照)、花粉の飛散による交雑防止の隔離距離の算定根拠は?』をご覧ください。

農水省の回答の要旨は次の通りです。

■ 農水省:【指針は信頼できる国内外のデータを収集し、安定していて適用可能なデータを確認し、交雑を生じないとして設定した】

■ 農水省:【我が国ではGM作物の交雑試験は行っていない。ただ、全国5ヶ所でGM作物を長期栽培して生物相へのモニタリング調査をしている。結果はまだ出ていない。いずれ公開する】

■ 農水省:【メキシコのトウモロコシの原種がGM汚染されたことは承知している。(しかし)我が国にはトウモロコシの野生種はないので、立場が違う】

■ 農水省:【ナタネは他殖性が高いので文献に実験規模が書いてあった。カナダでは65ha隔離するなどとなっている。日本の独立行政法人の圃場はカナダより狭いものだが、このデータも採用している。ダイズ、イネについては文献には書かれていないが、これらは自殖性が高いので考慮する必要はない】

また質問4では次のように言っています。

■ 農水省:【「カルタヘナ法」では、生物相への影響を防止するという観点で栽培条件をつけるということが概念上あるが、通常の栽培で野生生物への影響がなければ問題なく承認される。一般作物への影響については、交雑、混入防止などをお願いしていく】

これに対し岩佐恵美参議院議員(北海道・比例区選出)が次のように問題点を指摘しています。

■ 岩佐恵美議員:【あちこちで行われている実験が一般作物に影響があると危惧されているが、野生生物にどんな影響が出るか、といったデータを取る必要がある。生物多様性に絶対影響がないということで認めなくてはならないという厳しい対応が必要。生産の現場をこの法律でしばれるかはこれからの問題。今の農水省の見解では無理ということか。いったん被害が出ると修復は不可能。慎重にやっていかねばならない】

正論だと思います。

生物多様性条約カルタヘナ議定書国内法2月19日施行

カルタヘナ法」の問題点

塚平広志(遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン運営委員)

こちらのページには、問題点が指摘されています。要点は、

■ 【政府関係省庁(本法には、環境、農水、経産、文科、厚労、財務の6省が関係。主務官庁は環境省)は、この法律の実施にあたって法の適用範囲をできるだけ狭く、小さくするよう「施行規則」「生物多様性影響評価実施要領」などを策定。GM開発やその使用に支障をきたさない範囲で生態系保護をやっていこうという消極的姿勢をとっている】

ということ。

具体的には、

■ 【生物多様性確保の適用範囲や環境リスク評価の対象を、野生動植物に限定し、農業分野の栽培作物を除外したり、添え物にしようとしていること】

この結果、

■ 【日本の「カルタヘナ法」は、畑のなかの雑草(野生種)だけは保護しても、農作物は保護しない「雑草保護法」ということになってしまいます。】

さらに、また、

■ 【ところで農水省では、栽培作物は「別の方法で保護していく」として、独自の指針などを作っています。これは「カルタヘナ法」に縛られず、ゆるい許容基準を先手を打って決め、GM作物の栽培実験や使用を推進しよういうのが狙いと言えます。その一つが2月24日に策定し、独立行政法人などに通知した「第一種使用規定承認組換え作物栽培実験指針」でしょう。】

前の回答者、kakkiiさまがお答えになった「カルタヘナ法関連情報」が、対応するカルタヘナ法に関する農水省のページです。

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政府はいろいろ屁理屈をこねるものですが、要は、手前勝手な「独自の指針」をでっちあげ、カルタヘナ法を骨抜きにするよう許容基準を低めに設定しているというところに問題がありそうです。つまり、雑草は保護しても、農産物同士の交雑を防ぐような対策はとらず、同種の作物間における交雑防止を、いわば「意図的に」無視しているようにも思えます。農水省は【指針は信頼できる国内外のデータを収集し、安定していて適用可能なデータを確認し、交雑を生じないとして設定した】などと言っていますが、自前で交雑試験をまったくせず、収集したデータから恣意的に結論付けているのが問題です。また、それを容認する御用学者も大勢いるのでしょうね、きっと。

ちなみに、農水省のページ「カルタヘナ法関連情報」の末尾に「学識経験者の名簿一覧 」、つまり農水省の「指針」などを後押しした御用学者の一覧が見られます。

■「食の安全・安心条例(仮称)案の骨子」及び「遺伝子組換え作物の栽培等に関する条例(仮称)素案について」に係る道民意見の募集結果の公表について@北海道

ここに「北海道遺伝子組換え作物の栽培等による交雑等の防止に関する条例案(PDF32KB)」があります。これがお尋ねの条例案でしょうか?

ちなみに、私見をひとこと付け加えておきます。わたくしは「遺伝子の水平伝達・近縁種との交雑・形質転換」にも、もちろん問題があると思いますがそれは短期間で起こる現象なんです。長期間にわたる影響を考えると、ウィルスなどを媒介に、いわゆる「種の壁」を乗り越え、まったく別の種にまで、組み換え形質が伝達される可能性も考えられる、ということです。動物で言えば、ブタ由来のインフルエンザ・ウィルスが人間にも感染しますよね。遺伝子組み換えによる形質が、こういった「種の壁」を乗り越えて予期しない全く別の生物に伝達されてしまうことを非常に恐れています。

http://www1.plala.or.jp/yossie/ikimono/ik03.htm

第3回 「ウイルス進化論(1)」

opponentさんの回答が非常に興味深かったのでわき道に逸れてしまうのですが補足を。

上記はウィルス進化論を紹介したサイトです。この中でも紹介されている細菌類が持つ核外遺伝子=プラスミドは、大腸菌O−157がベロ毒素を生成する形質を獲得した機構として有名です。

RNAウィルスは逆転写酵素というものを持っており、自分の遺伝情報をRNAからDNAに書き直し、さらにそれを宿主DNAの中に自分自身をもぐりこませる事が可能です。で、その機能を利用し動物の遺伝子組み換え、人の遺伝子治療ではベクターとしてある種のウィルスが使用されます。

で、ウイルスは増殖時そのDNAを転写させ宿主細胞に自己のウイルスを生産させるのですが、この過程で宿主DNAをもいっしょに持ってきてしまうことがあります。

インフルエンザの場合人と豚は免疫学的に似ている(?)のでヒトインフルエンザはブタで増えますし、逆にブタが保有するインフルエンザウイルスを検査してその年のインフルエンザワクチンが生産されたりします。

キリンの栃木工場にある大麦の実験圃場(非遺伝子組み換え)を見たことがあるのですが、実際に交雑防止措置としてはハウスで隔離するか、充分な物理的空間を取るかのどちらかとなります。キリンの大麦実験圃場の場合は物理的空間をとるといった形で、一つの圃場から次の圃場までのあいだが見えないほど離れていました。

実際は、遺伝子組み換え作物の場合はF1化や種を使用するもので無ければ不稔化させてしまうという手もあるのでしょうが。

どうも、遺伝子組換作物反対の運動というのは原発反対運動と同じ構図に見えてしまうのです。

危険を感じて、それを訴えるのは正しいのですが、実際その活動をしている人に聞いてみると何が危険なのか無知だという事があります。『危険なものは危険。あの人がそういってるんだから間違いない』ではお話になりません。

原発立地県で尚且つその恩恵を受けている地域の人間から後ろ指をさされた事がある者としてはどうも納得がいかないのです。

URLダミーです。私もおかしいとおもいます。人etcの動物なら、奇形、短命、知能運動障害etcを生じますが、作物は、単に摂取した時に、allergyを生ずるかしないかの概念のみで措置されてるらしくて、他の概念は、アメリカによる圧力で、ほとんど無視されているらしいです。

URLはダミーです

危険性はあるでしょう、確かに

でも、農薬も危険性がありますし、電気を使うことも地球環境に影響を与えます。

こういうのは、閾値の問題でして・・・・リスクがあることを全部拒否しちゃうと、原始人みたいな生活に戻りますし、餓死する人も相当数でるでしょう、そっちが良いですか?

それとも、何らかの根拠があって農薬とかは問題なくて、遺伝子組み換えだと問題が有ると言うことでしょうか?

他にも、品種改良は良いんですか?

と言う感じで、世間が騒ぎすぎだと感じます

わからない→怖い→やめてほしい

と言うことなのでは?

取りあえず、現状の遺伝子操作は、未知のタンパク質を作り出したり、形質そのものを大幅に変えるなんてレベルには達してませんからスピードアップして種の垣根を越えた品種改良が出来るってレベルです。

大抵、この草のこの性質が便利だから、小麦にこの性質を付けよう、とかその程度ですよ

ちょっと前の質問ですが気になっていたので日経BPつながりでメモだけ。

BTJメールマガジンではちょっと前から北海道放送学習センターの所長先生が熱く語っておられますが。
生物学的にどうこうはさておき、社会的(?)にはちょっとおかしいんちゃうの、と思わされたのがこのコラム。
松永和紀のアグリ話