夢で逢いましょう

TVドラマに触発されたわけでもなんでもなく、たまたま手にしたこの本。

夢・出逢い・魔性 (講談社ノベルス)

夢・出逢い・魔性 (講談社ノベルス)



以下、ちょっとネタバレ気味なのでご注意。
上京してクイズ番組に出演する瀬在丸紅子、小鳥遊練無、香具山紫子とお連れの保呂草潤平(名前は記憶頼み)が例によって例のごとく巻き込まれた密室殺人事件のお話です。
ミステリィとして見るとどうなのかなぁ…
幽霊に殺された?という謎や密室の構成方法などだけを取ってみると、クオリティは「普通」の部類に入ると思うのですが、相変わらずの森節(謎)というか森作品らしい雰囲気、台詞回し、登場人物の特徴的な独白、抽象概念による具体的な比喩などが満載でファンにはたまらない一品かと。
犯人が分かってから「え!?」と思ってついつい該当人物の登場箇所を読み返してしまう*1タイプの一冊です。
ただ、犯人とは関係ない部分での叙述トリック的な登場人物のある一点がちょっと引っかかりました…

(読んだ人にしかわからない内容だと思うけど一応隠す)


二人の人物が出会うシーンの記述。
確かに、主語がないから「彼」が誰なのかはわからないけど、それが学校の作文だったら多分「分かりにくいから」って理由で添削されちゃいますよ。
この手のミスリード(leadでもありreadでもある)ってちょっとずるい感じがするなぁ。
こういうとき、主語をはっきりさせないでも良い日本語って便利ですよね。

*1:多分この瞬間がわたしは大好きなんだと思う。