見え方の違い

デイリーポータルZ:多摩川、「ザ・ガーデン」を読みはじめてすぐに、ああ、と思いました。

花の下にて春死なむ (講談社文庫)

花の下にて春死なむ (講談社文庫)

この短編集の中の「終の棲み家」で舞台になっている場所なのだろうと。
かなり適当なあらすじ↓

写真家が多摩川の河原に住む老夫婦と出会い、被写体として彼らを撮ることで名を上げる。
しかしそれが原因なのか、間もなく彼らは写真家の前から姿を消した。
その写真の展覧会のポスターが剥がされたのはいったいなぜか。

人との関わりを、人の持つ想いをもっと大切にしたい、と思える作品でした。


この作品でも彼らの住宅や畑の様子が、写真家の目を通して語られていました。
それは、上記ページの写真よりも控えめな彩度と確かな生活感をもって描写されていたので、すんなりと読み手に伝わるものでした。
ギラギラ照りつける夏の光の中でこの場所を(人に触れず、ただ通り過ぎるだけのものとして)見ると
こんな風に現実感がなく、どこか恐ろしげなものになるのでしょうね。
哀しいけどわたしがこの時期にこの場所に行っても、怖い、と感じるのだと思います。


あ、ミステリとしては微妙だけど、お話としては素敵ですのでおすすめです。
料理がかなりおいしそうです。
安楽椅子探偵ものがお好きな方もぜひ。