今年の読書総決算その1

風神秘抄

風神秘抄


勾玉三部作の番外編的*1な作品のようですが、なんとか今年中に四冊読み終えることができました。
特別な力を持つ少年と少女の恋物語として、すなおに読むにはいささか歳を重ねすぎてしまったようです。
少年が背中を追いかける大人の男性や少女を助ける大人の女性の果たす哀しい役割のほうに注目し心惹かれてしまうのは、私自身が物語の主人公になれるような存在ではないことを悟り、それを夢見ることも手放しているから、なのかもしれません。
何かを得るために何かを手放さなければいけなくなったときに、悩み苦しんでそれでも前に進んでいくことで彼らは「成長」していったのでしょう。

(以下ネタバレ気味?)


魔女の宅急便を思い出しました。
あのエンディングを私はわりと好きなので、このストーリーの流れは必然かと思いました。
そう思えば、

空色勾玉(そらいろまがたま) (〈勾玉〉三部作第一巻)

空色勾玉(そらいろまがたま) (〈勾玉〉三部作第一巻)

にもつながりうるところがあるわけで、ドラクエI-III的な展開好きにも楽しいかもしれません。


あと、

(この表紙はちょっと……こっちのほうが売れるのかしら……)
の裏返し的な展開があったりして、そのサイドストーリーを妄想してたらご飯3杯くらいいただけそうな感じがしないでもないです。
妄想といえば掛け算的なものとかもほのかにあって楽しいわけですが*2、そういう関係なのか、と山伏だか僧侶だかが尋ねるにあたって
「つまりその、特殊で特別な関係があるのか?」というようなまわりくどめな聞き方をしているのはやはり中学生以上〜対象の児童書ゆえなのかなあとかそんなしょうもないことばかり考えながら読んでおりました。

*1:勾玉は出てこない

*2:というか公式設定ですが