エンジェル(ネタバレっぽいので注意)

エンジェル (集英社文庫)

エンジェル (集英社文庫)

ライブドアによる球団やメディアの買収騒ぎの頃に読んでいたらちょっとタイムリーだったかもしれないミステリ。
エンジェルというのは言葉そのものの意味、殺されて幽霊となった主人公を「天使」になぞらえるだけではなく、投資用語として投資先に口をあまり出さないがお金は出すというとてもありがたい投資家のことを指しているのだそうです。
ホワイトナイトといい、エンジェルといい、なにやら投資業界にはファンタジックな言葉が多いのですかね。


幽霊刑事(デカ)

幽霊刑事(デカ)

とかぶる設定ですが、果てさてどうなりますことやら。


まずはじめは、殺された主人公の心の動きが生い立ちを理由にするとしてもあまりにも淡々としていて(普通もっとうらむでしょう!)なかなか感情移入ができませんでした。
おそらくはそれも作者の術中にはまっている、ということだったのでしょう。
そんな主人公が愛した女性と再会し、コミュニケーションを取ることが事件の謎の核心へと急展開で近づくことになり、それに伴って読む側のテンションもどんどん吊り上げられていきました。
そして、天使による犯人への逆襲、大団円、かと思いきやどんでん返し。
謎は一片たりとも残すところなく解決されていくようです。
最後には許し、消滅とそれから再生。


残念ながら、私の大好きな有栖川有栖先生の作品もこの作品と比べてしまうと…いささか見劣りがしました。
幽霊刑事の方は恋愛メインと思って読めばよいのかも知れません。