プリズム読了

プリズム (創元推理文庫)

プリズム (創元推理文庫)


ああ、これはいい題名ですね。
まさに、屈折、分散、乱反射。ぐるぐるまわります。
よく磨かれた結晶のように美人で一見無邪気な小学校教師は何故殺されたのか?


貫井徳郎の長編は慟哭 (創元推理文庫)に引き続き2冊目。じゃなかった、神の二つの貌も読んだから3冊目。
東野圭吾のフーダニット作品と似た匂いを感じました。というのはありがちな感想かなとか思いました。


(以下、たいしたことは書いてませんがネタバレ気味なので隠しました)


4章からなる長編小説ですが章が変わるごとに語り手がバトンタッチしていき、そのたびにある一つの解決が提示されています。
でも最後まで読むと、……結局、犯人はだれ?となってしまうわけで。
もう一度最初から読み直したくなる系ですね。
各章の語り手4人のうちの1人なのか、あるいは作中で示唆されている通り魔の仕業なのか、そもそも犯人は一人なのか。
それぞれが一人称で語っているけれど、それ自体が真実なのか。
(この辺も東野圭吾の「悪意」を思い出してみたり)


どんな解決でもありうるって言うのもすっきりしないものですが、限定的な世界しか見ることができない(=読者のような神の視点を持ち得ない)登場人物の推理にはおのずと限界がある、というミステリ論からすると、各章ごとに探偵がいて犯人が示されるというのはむしろ自然な推理小説なのかもしれません。


自分でもわけが分からなくなったところでおしまい。