これはひどい

「遺伝子組み換え食品いらないキャンペーン」という市民団体が招聘した、ロシア人研究者の講演内容について。
http://biotech.nikkeibp.co.jp/fsn/kiji.jsp?kiji=660
http://biotech.nikkeibp.co.jp/fsn/kiji.jsp?kiji=661


このロシア人博士の実験内容、データ処理の杜撰なこと!
計画を一人で立てて、誰にも相談せずに結果まで出したのでしょうか。
同じ研究室の人とディスカッションすれば、どう考えてももう少しまともなデータが得られそうなものなのに。


学生向けのテストにでも出てきそうですね。
「この実験計画のおかしな点を記述せよ」なんて感じで。
悪問といわれそうですが…


しかしそれよりもひどいのがこちら。

実験のずさんさに加えて「科学者の社会における役割」という観点からも、悪質極まりないのだ。

つまりどういうことかというと

  1. 予備的研究と称して実験の詳細を明かさず、実験の再現性検証を拒否している。
  2. 消費者がもっともショックを受けやすい次世代試験を、極めて安易に行い結果を恣意的に解釈している。
  3. 博士は、「研究を続けて行きたいが、実験結果の一部を昨年発表した後、企業や研究者からさまざまな妨害を受け、もう研究を続けられないだろう」と言う。まるで、迫害にあった悲劇のヒロイン気取りである。でも、こんなずさんでばかばかしい研究は、批判されてもう実験するなと言われても仕方がないではないか。研究所の同僚などは、同じレベルと誤解されて大弱りかもしれない。

なんだそうです。

特に1については査読のある雑誌に載ったというふれこみなのにPubmedでは確認できないという。
検索結果はこちら。
なるほど…。


講演自体も生協を利用しているお母さん方対象だったり、他の人の研究内容には全く触れなかったりしているあたり、「ゲーム脳」講演会と非常に良く似たにおいを感じますね。
こうやって恐怖を刷り込み、科学的に証明されていない事柄を大きな声で主張する人々を拡大再生産していくのでしょうか。


(注)私は遺伝子組み換え食品が安全であると思っているわけではありません。少なくとも今はまだ分からない、というスタンスです。
また、その危険性についても同様です。今後の情報について注意はするけれども遺伝子組み換え=100%忌避すべき毒物(を作り出す技術)ではない、というだけのことです。