あえて今ウィンタースポーツ
もともとオリンピックとかあまり興味のないタイプの人間なのですが、今回さらに天邪鬼に冬の競技のお話を読みましたのよ。
- 作者: 東野圭吾,角川書店装丁室
- 出版社/メーカー: KADOKAWA
- 発売日: 2003/08/22
- メディア: 文庫
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(以下ネタバレ風味)
- だれがやったのか?
答えはすぐに分かってしまいます。
ほどなくして、犯人は捕まりますが、それがお話のメインではない。
誰かが犯人を警察へ密告したのです。つまり、探偵が。
絶対にアリバイが崩れることはない、トリックを見破られるはずはなかったのに。
- どうやって殺したのか?
推定された殺害方法では、犯人には毒を混入させる機会はなかったはずなのに。
犯人はどうやったのか。そして探偵はそのトリックになぜ気づいたのか。
- なぜ、殺したのか?
犯人はなぜ天才選手を殺さなければいけなかったのか?
天才選手を殺しても、一見犯人には何のメリットもありません。
むしろ選手の死はデメリットでしかないのに、殺害を決意させるまでのどんな動機が犯人にはあったのか。
タイトルの意味がはっきり分かった頃から、絡まっていたこれらの謎が徐々に紐解かれていきます。
それだけではなく、ドーピング、選手の能力開発や葛藤、科学的な理論に基づいたトレーニングなどの話題がうまく絡められていて、クライマックスの大会のシーンではついついストーリーにのめりこんでしまうようになっているのですね。
スポーツと科学は果たして相容れるものなのか。
私には全く知識はないのですが、コンピュータがこれだけ普及している今、同じテーマでこのお話が書かれたらまた違ったモノになるのかもしれません。
そして「犯人」の動機が明らかになるとともに、お話はひっそりと大団円へ。
たぶん誰も本当に悪い人はいない、でもみんな少しずつずるくて、少しずつかなしくて、少しずつやさしい、そんな人たちによって成り立っているお話ではないかと思います。
やっぱり東野圭吾はやめられません……