まほろ市の殺人

有栖川有栖

まほろ市の殺人 冬―蜃気楼に手を振る (祥伝社文庫)

まほろ市の殺人 冬―蜃気楼に手を振る (祥伝社文庫)

をブクオフにて購入したので読む。
あっという間に読了。
だって薄いんだもん。物理的にも内容そのものも……
定価でも400円の商品を250円で買ってしまうという(私にしては)思い切った出費だったのに(笑)


どうやら4人の作家による連作のようですが、こんなの出てたのか…知らなかった。
春夏秋冬と順に読むべきだったのかもしれません。時系列もつながっているようだし。
北海道の苫小牧あたりを連想させる真幌市の地名が面白いです。
分かりやすいのだと、戦国時代には鮎川氏と横溝氏が対立していた、とか。
隣町は九陰(くいん)市、加亜(かあ)市など。
海岸には舞久(まいく)浜とか網州(もうす)なんてのも。
マニア受けですよね。。。
かくいう私も元ネタが分からないものの方が多いです。


以下微妙にネタばれ。


キャラクターの造形、犯人の属性、(倒叙なところとか)など
個人的に有栖川作品マイベストなマジックミラー (講談社文庫)*1を想起させる点がちらほら。
だってほら、最後、犯人がびっくりするネタが。
そんなのあり?
いや、マジックミラーから比べると、人数は増えてるんですけどね。
…両方読んだ人じゃないと分からない内容ですいません。
あと、叙情的な文章がこの人の持ち味だと思うんですが、それだけを売りにされてもちょっと困ります。
(要はミステリとしては……えーーーー。という感じだったので…)


最近のこの人の作品を読んでいると、もう原理主義本格ミステリを書かないのかもしれないとか思います。
犯罪小説としてのミステリだけが好きなわけではないですが、「人の心が一番ミステリ」というような作品ばかりでも寂しいのです。
それでも多分読んじゃうのがファンの悲しさなわけで。

*1:これは倒叙じゃないですけど…