絶版本読んだ

盗作問題により絶版回収となった

誰のための綾織 (ミステリー・リーグ)

誰のための綾織 (ミステリー・リーグ)

これ。


中越地震の日に「蛭島」へ誘拐された女子高生と女教師。
原因は誘拐された側にあるという、誘拐者の糾弾。
女性同士の愛憎。
蛭女。
孤島。
日本型家屋での密室。


で…。
アマゾンさーん!定価の3倍ってどういうことですか!(マケプレ価格)


結論としては、2回は読まないだろう。ということで。
性描写や残酷描写が多いものはいくら優れたミステリ(ex. 少年計数機 池袋ウエストゲートパークII (文春文庫)の「水の中の目」)でも読み返す気になれません…。
ともあれ、久しぶりに一気読みしたので疲れました。ぐったり。


作品内容にも言及しているので一応形だけ隠しておきます。


三原順川原泉と仲が良かったらしい漫画家さん、という認識しかなく、作品を読んだこともなかったので盗作についてはコメントを差し控えますが
タイトルでぐぐると2番目に出てくる、おそらく最初に内容の一致(類似とは言いがたい)を指摘されたブログの方が書かれているように
「作中作という点を利用」しておけばよかったんじゃないかな、とは思いました。
女子高生が書きました、その女子高生の表現は三原順作品に影響を受けすぎている。だから「これはちょっとまずい」と編集者は判断しました。というように。
盗作が指摘されている部分は会話や地の文に数多く見られますが、ミステリの内容そのもの*1にかかわるわけではない様子ですし。
といっても私が一致部分を指摘しているサイトを読み込んでいないだけかもしれません。


以下はミステリとしての感想。
未読で今後読まれる予定の方はご注意を。





メタミステリという構造*2や犯人設定のジャンルわけ*3、ミステリとミステリーについて、など「飛鳥部さん」と編集者の会話は興味深かっただけに残念です。


正直このトリックに気づかなかったわけじゃないんだなー。(多くの人がそうなのかもしれませんが)
特に先生の記述が変わっている部分については、あれ?と確かに思い、ページをめくって読み返しました。
それでも、2重にメタな構造とそれを作中作「蛭女」の「暫定稿」内で注意深く成立させている技量や設定は評価されるべきものだと思います。
とはいえ今後「改訂版」などが日の目を見ることはないのでしょうね。
作家として作品を書くこと自体がもうないのかもしれません。
今回この方のお話を初めて読み、結構気になる作家さんの一人になったのですが。
蛭女に追われるモネのくだりなんて息を詰まらせながら読みました。ホラーだ。
よく見ると表紙もホラーですね。うわあ。
あっと、最近の私は叙述トリック好きなのでそのへんで評価が甘めになっているきらいはあります。


…でもねー。いまどきの女子高生が書く文章に「パンティ」はないんじゃないかと思う。
じゃあなんて書けばいいのかと聞かれても困るけど…。
セーラー服も絶滅寸前ぽくないですか…?新潟には多いのかしら。

*1:もちろんお話を構成する重要なファクターではある

*2:登場人物外の人間が犯人

*3:新旧の有名作品に言及している