もう10年も前のことかぁ……
今年の7月でドリーが生まれて10年。
- 作者: 島田荘司
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2001/12
- メディア: 新書
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(6年前の)最新のクローン臓器作製や移植ブタ、遺伝子や分子生物学の知識、成果を踏まえたミステリということで、編集者である島田荘司のハリウッド・サーティフィケイト (角川文庫)ともかぶる*1わけですが、科学的記述はこちらの作品のほうがすんなり読めました。
クローン臓器と移植用ブタとのさまざまなコスト面での比較検討についてのレクチャーが細胞培養をやってる人間としては面白かったです。なるほど大きな臓器を培養したかったらそりゃあメディウムが恐ろしいことになるよなあ。
元研究者で、専門内容に関する新書も出しているようなので書きなれていらっしゃるんでしょうね。
サイエンティスト→ビジネス人として成功した作中人物に、作者自身の科学技術や社会のありように対する考え方を喋らせている様子なのは……脚色があるにせよちょっと辟易しましたが、その人物とは逆の立場をとる*2女性が主人公に据えられているところが興味深いです。
これが書かれた当時と今では状況も色々変わって来てはいますが、
5年もしないうちにヒトのクローンES細胞が作製され、あまつさえそれが捏造で、世紀のスキャンダル*3になるなんてことはいかに専門家と言えど予測できなかったんではないかと思いました……事実は小説よりなんとかってヤツで。