罪と罰

13階段 (講談社文庫)

13階段 (講談社文庫)

を読んで、


手紙

手紙

を思い出しました。


登場人物の誰も幸せにならない、お話は終わっても人生は(哀しいことに)続いていく、そんなところが似ているなあと。
ただ、「手紙」と違って「13階段」には立ち向かうべき大きな敵があった、それが救いではありました。


イムリミット型のサスペンスは期限が区切られているというその設定だけで十二分に盛り上がると思うのですが、もちろん江戸川乱歩賞受賞作だけにミステリとしても秀逸でした。
一番の山場であろう章の最後で、
「ええ!そこでこの名前が出てくるの!?」
という驚愕*1あるいはカタルシスを得られる本に出会ったのは本当に久しぶりのことでした。
や、私がちゃんと本読んでないだけといえばそれまでなんですけどね!


ところで今回も弟の蔵書からのチョイスなのですが、最近の彼は高野和明といいIWGP横山秀夫伊坂幸太郎*2といい、「組織の中のひと」を描いた作品を好んで読んでいるように見受けられます。
現実は時にどうしようもなく醜悪なものですが、それでも「正義の為されるところが見たい」と希求する人が組織内にいる限り、希望を捨てずにいられるのではないかと思います。
何か会社にて思うところでもあるのかと姉としては邪推せずにはいられませんが、買わなくても実家に帰れば読めるミステリが増えてきたのはありがたいことでございます。感謝感謝。

*1:私の中では「十角館の殺人」に次ぐオドロキでした

*2:…はちょっと違うかな?