よんだ

わが目の悪魔 (角川文庫 赤 541-3)

わが目の悪魔 (角川文庫 赤 541-3)

翻訳小説にありがちな挫折を数回経たのちに何とか読了しました。
同姓の男性が同じアパートに住んでたらどうなっちゃうかな?しかも一方が快楽殺人者だったりしたら……?
というアイデア一つで最後まで引っ張ったといっても過言ではないすてき作品でした。
手紙の混同、性格の違い、行動の違いが引き起こす彼らのすれ違いがあわれな主人公の末路へ収束していく流れがなんともやりきれない……
実に小市民的で孤独な主人公(=殺人者)を丹念に描くことで、読み進めるうちにハンサム不倫大学院生よりも快楽殺人者に感情移入させられてしまうという作品の構造そのものがまさに「サスペンス」だったなあと思ったり。


ストーリーにおいて重要なキーワードである「ガイ・フォークス祭」だけじゃなく、全体的に注釈が欲しかったのですが「興味のある方は調べてみたら面白いyo★」って最後の解説であっさり言われても……80年代の作品としては不親切じゃないですかね。
今ならネットで調べることもできるのでつくづく便利な時代になったと思います。ありがたいことです。
ガイ・フォークス - Wikipedia